膜エレメント用ハウジングの比較

FRP製 vs ステンレス製の圧力容器(耐圧容器)について

メンブレン膜モジュールを装填するハウジング(圧力容器/耐圧容器)を選定するには、膜装置の配列設計に合わせた長さ(何本膜モジュールがハウジングに入 るか)やハウジングの耐圧範囲を検討する事はもちろん、利用する膜処理の用途に合わせたハウジングを選定する事が重要です。今回はステンレススチール製ハウジングと繊維強化プラスチック(FRP)製ハウジングの特徴についてご紹介します。

ハウジングの定番:繊維強化プラスチック(FRP)製ハウジング

codelineFRP製のハウジングは多くの膜分離装置に利用されており、ハウジングの定番と言ってよいでしょう。FRPハウジングには低圧用途から高圧用途まで幅広い種類が用意されており、さまざまな膜分離用途にて利用されています。例えば、海水・かん水などの高塩濃度の液体には高い耐腐食性能と耐圧性能が要求されるため、 ほとんどの場合、海水淡水化用FRPハウジングが利用されます。また、FRPハウジングは一般的な純水用途をはじめ、製薬・バイオ用途や食品・飲料分野の膜分離装置にも利用されています。さらに特殊用途のFRPハウジングには製薬/食品工業用途の耐熱仕様の超純水/サニタリーパッケージなどもあります。

従来FRPハウジングはエンドエントリーのハウジングが主流でしたが、最近はサイドポートタイプやマルチポートタイプのハウジングが主流になりつつあります。

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最新のCodeline OCTAシリーズのFRPハウジングではサイドポート接続部の内面壁を独自の八角形にすることにより信頼性の高い優れた密閉性を実現しており、6.8MPaや8.2MPaの高圧アプリケーションでもマルチポートを利用することによりマニフォールド不要でハウジングの配列が可能です。また、Codeline OCTAシリーズのFRPハウジングでは、サイドポートが着脱可能のスレッド接続のため容易なメンテナンスを実現しています。

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サニタリー用途に根強い人気:ステンレススチール製ハウジング

membrane-02水処理システムおよびサニタリープロセスにて一般に好まれ、受け入れられている素材であるステンレススチール構造のハウジングは炭化水素、酸、その他苛酷な薬品環境においても耐腐食性を持っており、入/切の頻繁な運転や高温運転(93℃:オールステンレスの場合)にも耐えることが可能です。このため、サニタリー性、耐熱性、耐薬品性などが要求される食品工業やバイオ・製薬などの用途ではステンレス・スチール製ハウジングが好まれて利用されます。
例えば、膜ハウジング/エンドキャップのデザインおよび製造工程を米国農務省(USDA)によりレビューされ承認されたフランス SUEZ社(旧 米国GEウォーター・テクノロジーズ)のサニタリー仕様8インチ膜エレメント用SSハウジングは、いかなる膜処理の流量設計にも対応可能な大口径サイドポート(2インチまたは3インチ)を採用し、優れた流量特性と低い圧力損失を実現しています。またすべてのポートは内径研磨され、接続はサニタリーTri‐clampになっています。また生産物の停滞の可能性を排除するために全ての溶接部分と縁部分はスムーズでテーパーになるように研磨されています。そしてハウジングの仕上げには、ステンレスの電解研磨、機械研磨、もしくはメタリック二層エポキシ塗装がされています。

osmonics8-01トスクでは各種耐圧および用途に応じたステンレススチール(SS)およびFRP(繊維強化プラスチック)のメンブレン用ハウジングを取り扱っています。