膜ファウリングに重要な関連性のあるFI値 (SDI) の意味と測定方法とは?
FI値 (SDI) とは?
逆浸透 (RO) 膜エレメントの仕様書には必ずFI値 (SDI) が運転条件として記載されています。最高圧力やpH範囲、運転温度などの運転条件は一般的に理解しやすい項目ですがFI値(SDI)とはいったい何を意味する値なのでしょうか?
非常にシンプルな言い方をすればFI値とは供給水中の懸濁物質がRO膜へのファウリング (汚れ) にどれだけ影響を及ぼすかを定量化した指標 (メンブレン汚れ指数) です。
FI値と同じ意味で用いられるSDI (シルト濃度指数) は、米国材料試験協会 (ASTM) にて規格化 (ASTMD 4189-95) されています。通常、多くの膜メーカーはFI値 (SDI) の上限値を5以下、推奨値を3以下に定めています。ROシステムを設計する際にはもちろんの事FI値(SDI)を定期的に測定することはROシステムの長期における安定運転のために大変重要です。
FI値の重要性
トラブルのない安定した膜処理システムを設計するためにはどのような事に注意しなければならないでしょうか?システム設計上、注意すべき事項は大きく分けて、 (1) 硬度成分やシリカなど難溶性イオンのスケール、 (2) バイオファウリング、 (3) 有機物によるファウリング、 (4) pH、薬品、水温 (高温水) などによる膜劣化、 (5) 懸濁物質によるファウリングなどがあります。これらのどれかひとつでも問題が生じると膜処理システムにトラブルが生じる可能性があります。
FI値(SDI)はRO膜システムの懸濁物質によるファウリング傾向と関係があり、メンブレンシステム全体の設計方針に大きく影響します。このためFI値 (SDI) を無視した設計を行った場合、懸濁物ファウリングによるトラブル発生の可能性を残したシステムになってしまいます。また、実際に懸濁物によるファウリング のトラブルが発生した際にFI値(SDI)を測定せずにトラブルシューティングする事は困難です。
FI値(SDI)の測定方法は?
このように重要なFI値(SDI)ですが、他の水質検査項目と異なり測定を行っている外部水質検査機関が少ないため測定をあきらめてFI値(SDI)を無視するか、社内にて測定を行うかのどちらかになります。FI値(SDI)の測定は市販の手動FI値測定器やそれぞれの部品を調達する事によって測定する事が可能ですが、もうひとつハードルがあります。それは手動で測定を行うのが非常に面倒なことです。
FI値(SDI)は47mm径の0.45ミクロンのフィルターを用いて500mlのサンプル水を30psi(206kPa)にて濾過・採取するのに要した初期の時間(T1)と15分連続運転後に要した時間(T2)を比較することによって測定され、FI値(SDI)は下記の計算式によって表されます。
FI値(SDI)= PF / T
PF = 詰まり係数 (汚れ%) = 100 x (1 - T1/ T2)
T1 = 最初に500mlを、ろ過・採取するのに要した時間 (秒)
T2 = T分後に500mlを、ろ過・採取するのに要した時間 (秒)
T = T1ろ過・採取開始時間からT2ろ過・採取開始時間までの時間 (通常15分)
上記の測定を手動にて行うためにはストップウォッチとメスシリンダーを用意して圧力を調整しつつ、素早く500mlのサンプルを採取して15分間待った後にふたたびストップウォッチとメスシリンダーを用意して500mlのサンプルを採取するという作業が発生します。万が一、待っている間にタイミングを逃して15分間が過ぎてしまったり、計測を間違えてしまった場合にはもう一度最初から試験を開始しなければなりません。また、測定はほとんど手動・目測なので本当に正確に測定できているのかどうか、他の人が行った場合と自分が行った場合とでは本当に同じ結果が出るのかどうかの正確性に不安があります。
より簡単な測定方法は?
トスクでは、非常に煩わしく不正確であった手動によるFI値 (SDI) 測定作業を自動で簡単、正確に行う事が可能なメンブレン汚れ指数 (FI値/SDI) デジタル自動測定器を取り扱っています。
バッテリーのみで稼動する現場での利用を考慮した測定器は、高精度なデジタル流量センサーにより正確なFI値(SDI)を測定する事が可能です。測定器の液晶ディスプレーにはFI値(SDI)の結果、現在の流量、経過時間などが表示されます。また、テスト終了後には100mlおよび500mlの5分、10分、15分のFI値(SDI)が表示されます。