液中パーティクルカウンタ『KL-05』は、光遮蔽方式により粒径 1.3 ~ 100μm の微粒子の測定が行える自動測 定装置です。医薬品工場などにおける注射剤中の不溶性微粒子の計測に適しています。
◎ KL-05の特長
- 日本薬局方(JP)、米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)、大韓薬典(KP)、中国薬典(ChP)に 定める注射剤中の不溶性微粒子試験に対応しています。
- 小容量測定(USP 787)に対応しています。10mL 容量シリンジおよびアンプルなどの小容量試料台をご用意しています(オ プション)しています。
- FDA の 21 CFR Part11 に対応し、オペレータやパスワード管理機能が充実しています。電子署名にも対応しています。
- シリアル通信により LIMS などへ測定結果の出力が可能です。
- 測定結果を PDF もしくはテキストファイルで出力できます。
- 内臓記憶装置として SSD を採用し、動作速度が向上しました。
- 可測粒径範囲 1.3μm ~ 100μm、定格流量 25mL/min(工場オプションで 10mL/min 対応)、粒径区分を最大 20 段階まで任意設定が可能です。
- 光源の半導体レーザは3年間保証です。
◎ KL-05の仕様一覧
品名 | 光遮蔽型自動微粒子測定装置 | |
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型式 | KL-05 | |
光源 | 半導体レーザ(定格出力:4.5mW、波長:790nm) | |
接液部材質 | フローセル:合成石英 シリンジ:ほうけい酸ガラス、PTFE シリンジポンプ:Kel-F(PCTFE)、PTFE チューブ、パッキン、継手:PFA、PTFE、PCTFE、パーフロ(特殊フッ素ゴム) | |
定格流量 | 25mL シリンジ、定格流量 25mL/min(10mL シリンジ、定格流量 10mL/min ※工場オプション) | |
可測粒径範囲 | 1.3μm ~ 100μm | |
粒径区分 | 1~ 20 段階(0.1μm 刻み) | |
最大 粒子個数濃度 | 10,000個/mL (純水中の 10μm 付近の PSL 粒子、計数損失 10% 以内) | |
試料容量精度 | 25mL シリンジ、定格流量 25mL/min | ±2% 以内(容量 10mL を測定したとき) |
25mL シリンジ、定格流量 10mL/min ※工場オプション | ±2% 以内(容量 10mL を測定したとき) | |
10mL シリンジ、定格流量 10mL/min ※工場オプション | ±5% 以内(容量 0.5mL を測定したとき) | |
電源 | AC100 - 240V, 50/60Hz、約 80VA | |
大きさ | 約 H370 x W375 x D236mm | |
重量 | 約10kg | |
付属品 | PFA サンプリング管(Φ2mm x Φ4mm、長さ 100mm)セット、 ドレインチューブ(Φ2mm x Φ3mm、長さ 150cm)セット、 USB メモリ(8GM)、電源コード(国内用 2.5m)、マウス、 キーボード、フェライトコア、セルクリーニングブラシ(ケース入り)、 コードクランプ |
◎オプション
- PFA サンプリング管(Φ2mm x Φ4mm、長さ 100mm)セット(ナット付き)KL-04-S14 ・25mL 容量シリンジ 5ZSY60P0 ※交換後、容量試験が必要となります。
- 10mL 容量シリンジ 5ZSY61P0 ※交換後、容量試験が必要となります。
- USB メモリ(32GB) 5ZUBA200
- プリンタ LP-S280DN ※推奨品 (または HL-L2360DW)
- プリンタ用 USB ケーブル A-B(2m) 5WUSB200
- 外部ディスプレイ(21.5 型) E2282HD-B1
- USB-RS-232C 変換ケーブル 59RSAQ00
- 通信ケーブル CC-61A、CC-63A
◎ 光遮蔽型自動微粒子測定装置とは
注射剤管理について
注射剤は直接人体に注入されるため、不溶性微粒子の粒径と粒子数は薬局方において規制されています。製薬においては、電子工業とは異なり不良品の発生を工場で確認することができないこともあり、最悪の場合、患者にまで影響がおよぶこともあります。したがってその製造工程および検査は、不溶性微粒子や微生物および異物が含まれていないことを科学的に証明できる方法で行う必要があります。
日本薬局方をはじめ各薬局方においては、不溶性微粒子を測定する装置「光遮蔽型自動粒子測定装置」についても規定しています。主な規定項目として、測定原理、校正用粒子、粒径精度、粒径分解能、試料容量精度、計数率などがありますが、測定原理は光遮蔽方式でなければなりません。
JP、USP、EP、KP、ChPの不溶性微粒子試験の判定規格
JP/KP/ChP | USP/EP | ||
大容量 | 10 μm以上 | 25個以下/mL (100 mL以上) | 25個以下/mL (100 mL超) |
25 μm以上 | 3個以下/mL (100 mL以上) | 3個以下/mL (100 mL超) | |
小容量 | 10 μm以上 | 6,000個以下/容器 (100 mL未満) | 6,000個以下/容器 (100 mL以下) |
25 μm以上 | 600個以下/容器 (100 mL未満) | 600個以下/容器 (100 mL以下) |
<不溶性微粒子試験について>
操作法(JP16局6.07 注射剤の不溶性微粒子試験法 第一法より引用)
容器を20回連続して、ゆっくり上下を反転させ内容物を混和する。容器に封がしてある場合は注意してはがす。容器開口部の外表面を微粒子試験用水で洗浄し、内部が汚染されないよう注意して栓を開ける。容器は2分間放置するか、超音波を照射するなど適切な方法により、内部溶液の気泡を除く。
25 mL以上の注射剤は個々の容器について試験する。25 mL未満の注射剤は10個以上の容器の内容物を集め、清潔な容器にまとめて入れ、25 mL以上となるようにする。適当と判断できれば、微粒子試験用水で希釈し、25 mLとしてもよい。微粒子試験用水が適当でない場合、微粒子について微粒子試験用水と同等の他の適当な溶剤を用いることができる。
粉末注射剤の場合、微粒子試験用水に溶解する。微粒子試験用水が適当でない場合、微粒子について微粒子試験用水と同等の他の適当な溶剤を用いることができる。
試料数は統計的に適切な数とする。25 mL以上の注射剤については、適切なサンプリング計画にしたがって10容器以下とすることができる。試験液を5 mL以上ずつ4画分採取し、10 μm以上および25 μm以上の微粒子数を計測する。
最初の画分の計測値は棄却し、残りの計測値から試験液の平均微粒子数を計算する。
一般注意事項
試験は外部から微粒子が混入しない条件下、できればクリーンキャビネット中で行う。メンブランフィルタ以外のろ過器およびガラス器具は、加温した洗剤液で十分に洗浄した後、水ですすいで洗剤が残らないようにする。
また、使用直前に微粒子試験用水でろ過器の内外を上から下へ洗い流す。試験液の一部を、測定用容器に移す時には気泡が入らないように特に注意する。ガラス器具は清潔か、微粒子試験用水の微粒子数は規定内であるかなど、5 mLの微粒子試験用水を用いて下記の操作(省略)を行い、試験環境が適切かどうかを検査する。測定は5回行い、10 μm以上の微粒子数が25 mL中25個を超える場合は、試験環境は適切でないと判断する。この場合、試験環境が適切となるまで、微粒子試験用水を再測定すると共に、ガラス器具およびろ過器の洗浄を繰り返す。